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連載#3「コミュニティ卓話」アオイエ 坂元裕星さん

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コミュニティマネージャー(以下、CM)が、仕事の面白さやキャリアについて語る「コミュニティ卓話」。将来、コミュニティ作りに関わってみたい、人をサポートするお仕事に携わりたい人にオススメの記事です。

#3は、日々のくらしが学びに変わるコミュニティ型シェアハウス「アオイエ」の坂元裕星さんをインタビューしました。坂元さんは、CMを経て、現在、アオイエの経営者としてご活躍をされています。

 

アオイエとは?

「みんな表現者」をコンセプトに、高校生から社会人、お笑い芸人や起業家、研究者、アーティスト等の多様な住人が共に生活を送る新しい形の住まいです。家族のように同じ屋根の下で語り、悩み、成長し、夢を形にする場所を目指すコミュニティ型シェアハウス。

アオイエ:https://www.community-house.jp/

 

WHYコミュマネ?「心からの笑顔を作る仕事をしたい」

坂元:アオイエに入居してから、2カ月後にアオイエの代表から「CMやらないか」と言われたのがキッカケです。

小菅:元々入居者さんだったんですね。しかしながら、2ヶ月目とは…だいぶ早い展開ですね。なぜ、やってみようと思ったのですか。

坂元:コミュニティづくりは「心からの笑顔を作る仕事につながるのではないか」と思ったからです。

小菅:心からの笑顔?

ネパールでの活動

坂元:アオイエ入居前、僕はネパールにある150人規模の村に留学をしていました。現地に行って衝撃を受けたのが、村全体が家族だという思想。「助け合いの文化」が当たり前であったことです。他人の家の子どもも、自分の子どものように怒って育てるのが当たり前。驚きました。水道もなし、娯楽もなしで、日本の当たり前がない場所なのに、そこにあったのは、心からの笑顔でした。

小菅:坂元さんの「今」をつくる原体験が、ネパールにありそうですね。

坂元:そうですね。僕は、大学の時に東京に来ました。都会の満員電車に揺られる時、街を歩いている時、都会の人の表情に違和感を感じていました。東京育ちの東京生まれの人は、普通の光景かもしれないのですが、心からの笑顔が少ない気がしたんです。日本は、なんでもある国だけだと、心からの笑顔が少ないと感じました。ネパールのように皆、笑顔だったらいいなぁと思って…。ならば、自分でコミュニティを作れば、笑顔を作ることができるかもしれない、そう思ってCMにTRYしました。

仕事のやりがいとは?「自分の夢を話せるコミュニティが、夢を実現する力を与えた」

小菅:CMを経て、現在は経営者という立場ですが、それぞれのお仕事の内容を教えてもらえないですか?

坂元:CM時代は、各物件のコミュニティづくりを担当し、3店舗見ていました。経営者になってからは、提携会社に、アオイエを分かりやすく伝えるために、会社としてのあり方を考えることが多いです。

小菅:CMと経営者という異なる立場で、アオイエをつくっていく中で、心に残るエピソードはありますか?

坂元:以前、プロ野球選手の夢を目指していたのに怪我したことで、夢を諦めなくてはいけなくなった方が入居しました。彼は、アオイエに来てくれた時、18才でした。その時の彼の夢は、「宇宙飛行士になること」だったのですが、周囲の大人からは「なれるわけがない」と言われて自信を失っていた時期だったんです。でも、アオイエの住人から「絶対なれるよ」と応援され、気持ちを改め受験勉強に打ち込んだんです。結果、彼は、東京大学を目指してアオイエを卒業しました。

小菅:アオイエの入居者のみなさんの力ですね。

坂元:アオイエは、夢を語れる場所なんです。周囲の人に自分の夢を気軽に話せる環境にいたら、彼は価値観が変わったんです。これは、コミュニティの力なのではないかって気づきました。

 

今後の目標「言葉にできない価値を、あえて言葉にしないこと」

小菅:坂元さんの次の目標はありますか?

坂元:今は、経営者としてアオイエとは何かを伝えなくてはいけない立場なのですが、それがなかなか難しいんですよね。アオイエは「●●である」「価値は●●である」っと伝えると、他の人には分かりやすいんですが、言葉にできない価値を無理に言葉にしてしまった瞬間に、もうそれ以上進まなくなるんです。ビジネスとしては正しいかもしれないけど、個人としては正しくないと感じている為、あえて言葉にしないようにしていきたいと思っています。

小菅:言葉が邪魔になってしまうんですね。アオイエとしての目標は?

坂元:最低限の生活ができるように、衣食住のサービスが整った場所を作りたいんです。個人が、本当にやりたいことを思いっきりチャレンジできる世界を作るのが、アオイエの役割だと思います。

 

コミュニティマネージャーを目指す人へのメッセージ「これからの日本になくてはならない職種」

小菅:CMを目指す人にメッセージをお願いします。

坂元:とてもやりがいがある仕事だと思います。CMが担うリーダーシップは、一昔前は当たり前にあったため、必要なかったのではないかと思いますが、現代だからこそ必要です。今はテクノロジーが進化し、スマートフォンやPCと向き合う方が、人と向き合う時間より多い時代です。だからこそ、CMが、人と人の間を結ぶ、物や会社を結ぶ。CMは、人に影響を与えることができる、本当にやりがいがある仕事だと思います。これからの日本にとっては、大事な職種になると思っています。

 

編集後記:訪問者の一言コメント

小菅奈穂子
Layout Unit ディレクター / SHIBUYA QWS CM
担当:インタビュー&企画

「日本には心からの笑顔が少ない」。豊かな社会、当たり前になってしまった風景に、疑問を感じたことから、世界を変えようとする坂元さんの言葉が心に響きました。それと同時に、コミュニティは、所属する場所によって、個人に大きな影響を与えてしまう要素もあるという事実を受け入れながら、CMの役割を考えていきたいなぁと改めて思いました。

 

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